新人指導において重要な「OJT」の進め方を解説!

介護現場における新人指導の課題や行う上でのチェックシートの作り方に関しては、こちらの記事をどうぞっ

介護現場で新人指導を行う際にはほぼ「OJT」という手法で指導が行われます。

おーじぇいてぃー?

なんのことだかさっぱりわからないなぁ…

介護業務は座学で業務を学ぶよりも、現場で実践をしながら学んでいくことが多く、それを「OJT」と言います。

なーんだ、『習うより慣れろ』って感じでマネしてもらうのねっ

と、思った方。

ちょっと、というかだいぶ違います。

この記事では、新人指導を行う上で重要な「OJT」の基礎を学んでいきましょう!

この記事のポイント

・介護現場指導における「OJT」の重要性がわかる!

・「OJT」を行う上での流れやポイントがわかる!

・新人指導期間終了前に行いたいことがわかる!

「OJT」の重要ポイントや流れを理解しておくことで、より新人さんを効果的に指導することができますよっ。

それがひいては、指導者やリーダーのみなさまの業務負担軽減につながります。

ゆっくり学んでいきましょうねっ。

介護現場における「OJT」の重要性

OJT:業務の体験を通して、その業務を覚えること。

介護現場の指導で必ずといっていいほど聞くワード「OJT」。

OJTとOFF-JTの違いをまずは見てみましょう。

OJT:業務を行いながら、その業務を覚えていくこと。

OFF-JT:座学や講習を通じて、業務を覚えていくこと。

介護現場の指導ではほぼOJTとなる

介護現場では、座学で体系的に知識を習得する…というよりも、実際に現場で覚えることが主となります。

専門的な知識をもっと深く知りたい!

認知症のことについてもっと学びたい!

というときにOFF-JTを活用しますが、新人指導時はあまり行われない現状があります。

基本マンツーマン指導で行うことが多く、その職員の能力や理解度に応じて指導することができるのが大きなメリットです。

OJTの基本的な流れ

実は、山本五十六の言葉で、OJTの流れについて説明が終わってしまいます。

山本五十六
山本五十六

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、

ほめてやらねば、人は動かじ。

介護現場に当てはめてみましょう。

例:利用者さんの寝返り介助を行う時。

やってみせる

まずは指導者がやってみせて、全体的な流れをみてもらいましょう

説明する

なぜ寝返り介助が必要か?から利用者さんに応じた力の使い方、職員の身体の使い方を口頭で説明していきます。

チェックリストと連動しておくと効果的!)

させてみる

実際に寝返り介助をしてもらいましょう。

もちろん利用者さんへ直接してもらってもいいですし、指導者が利用者役となり身体の動かし方を何度も体験してもらう方法もあります。

評価する

練習→実践を通して、必ず評価を行いましょう。

ふーん…へー…

新人さん
新人さん

いいのか悪いのかわからんっっっ!

どこが良かったのか、改善が必要なのかをその都度説明していきましょう。

利用者さんにかけ声をかけながら介助を行うのいいねっ!

もっと手のひら全体で支えてあげたほうがいいかもっ!

OJTのタイミング

実際の現場や新人指導で、いつのタイミングでOJTが行われるでしょうか?

介護技術の習得

新人指導チェックリストを参考に、寝返り・立ち上がり・歩行等の利用者さんへの直接的な介助を指導するとき

利用者さんとの接し方

基本姿勢から、例えば耳が聞こえづらい方やうまく話せない方、目が見えづらい方への介助方法などを指導するとき

認知症の方への対応

基礎知識から声掛け方法や「行動・心理症状」がみられたときにどうやって対応するのかを指導するとき

五感で体験できる業務

つまるところ、OJTを行うタイミングの基準としては、

五感(みる・きく・さわる・嗅ぐ・なめる)に作用する業務があるとき

だと考えます。

介護技術だけではなく、例えばある利用者さんに提供される「とろみ」や「ミキサー食」、エンシュア等の栄養補助食品など。

一度それを新人さんに食べてもらい、見た目や食感を感じてもらうのもいい実践です。

新人さん
新人さん

○○さん、飲み込む力が弱いから、誤嚥しないようにこういう工夫をしているんだなぁ。

エンシュアってこんな味なのかっ!あまー!

間違ったOJTの例

ここまでOJTの流れや内容を見て

なーんだ、習うより慣れろってことでしょ?

と思ったあなた。

実はちょっと、というかだいぶ違います。

OJTに関する勘違いをみていきましょう。

目標を共有せず、とにかくやってもらう

とにかく身体をうごかせーーーーー

うおおおおおおおおおおーーーーー

新人さん
新人さん

わーーーーー

とりあえずわからんけどうごくーーーー

新人さん
新人さん

なんでこの業務をしているんだろう?

なんの意味があるだろう?

その業務や介助方法のやっている意味がわからないままになってしまいます。

ただやるだけ、なら頭を使わなくていいのです。

ただ、チームとして考えた時にその業務が現状にマッチしているのか、本当に利用者さんのためになっているのか、を考える必要があります。

その時点でかまいませんので、

こういう理由でこの業務・介助をしているんだよっ

こうなってほしいから伝えているんだよっ

と伝えていくことで、頭で理解したうえで身体を動かす事ができます。

そして

利用者さんの状態変化に合わせて(頭で考えて)

介助方法を少し変化させる(身体を動かす)

ことをチーム全体でできると、利用者さん・職員にとても良い効果が生まれます。

「みればわかる」「考えたらわかる」と思っている。

オムツはこうやってまいて!

みたらわかるでしょ!

あーーーーこの方はトロミをつけないといけないじゃない!

考えたらわかることなのに!

具体例を書くだけで、トラウマがよみがえってきて吐きそうです。

ここで考えなければならないのは、「見ただけではわからん」ということです。

俺の背中を見て覚えてねっ!(ドヤっ)

新人さん
新人さん

背中に何も書いてませんよ?

こういう人たちは「自分が完璧にできていて、マネするだけで十分」だと思考停止している方々です。

こんな人が上司や指導職員になってはいけません。

これは指導を放棄しているのです。

「言われないとできない」人間を作ってるのはあなた。

ほんと最近の新人は言われないとできねぇのな??

っていう上司や先輩職員。

こういう事を言っている人は、自分の指導力不足を新人や他人に押し付けているだけです。

本当に無視しておいた方がいいです。

イヤなことを思い出してイラっとしたので、ここらへんにしておきます。

OJTを上手に行うポイント

職場全体で行う

あくまでリーダーや指導者が直接的に新人さんへ指導を行います。

ただし、少人数だけでOJTを行う必要はありません。

OJT計画を立案する上司。

計画を実行するリーダーや指導者。

その計画や実際の現場を見て評価・改善を提案する職員。

すべての職員でOJTにかかわっていくことで、効率的に新人さんへ業務を伝えることができます。

見る・動く・考える=理解する

「習うより慣れろ」ではない、と伝えました。

そうではなく「習う←→慣れる」を行ったり来たりして、頭と身体を連動させながら指導をしていくと効果的です。

業務遂行までのイメージを伝える

介護業務において、どう行うか~どこまで行うかをより明確にする必要があります。

トイレ介助といっても、

・トイレまで誘導するのか?

・最後お席まで案内するのか?

・ズボンの上げ下ろし、ペーパーの取り扱いはどこまで行うのか?

つまり、過程と結果その両方とも見ていく必要があります。

結果だけ見ていればいい、というわけではありません。

なので、OJTを行う際に「完成イメージ」だけではなく「イメージまでどういう道のりでいくのか」も伝えていかなければなりません。

振り返りや復習のしやすい書類整備

新人指導チェックシートは新人職員と指導職員の大切な道しるべとなります。

なかなか指導職員も忙しくてゆっくりと伝える時間がない場合が多くあります。

書類整備をしておくだけで、新人職員も書類を通して頭で考えることができます。

指導職員も別の事をしていて時間が取れないときは、

まずこの書類をみてみてっ!

と先に伝えておくだけで、導入がスムーズになりますね。

新人指導期間終了前にやっておきたいこと。

改めて、この記事だけではなく、他の記事のおさらいもしてみましょう。

介護現場における新人指導の問題点ってなんだ?

【経験談】介護現場において新人指導ってめっちゃ大変…って話【負のループ】

新人指導時に必要な「チェックシート」の作り方を学ぼう!

【保存版】介護現場で使える「新人指導チェックリスト」10のポイント!

新人指導初日って何やる?

【はじめのいっぽ!】介護における新人指導 初日にやる事総まとめ!

新人指導時のコミュニケーションの仕方を学ぼう!

【徹底解説】介護リーダーが新人指導時に気を付けるべきコミュニケーション術!

新人指導の根幹をなす「OJT」を理解しよう!←今ここ

ここまで、新人指導の大まかな流れを解説してみました。

次に、新人指導期間中~終了前にやっておきたいことをみていきましょう!

1ヶ月・3ヶ月で振り返り

少なくとも1ヶ月、3ヶ月で振り返りを行いましょう。

それぞれの節目で下記の事を聞いてみるのがいいですねっ。

指導1ヶ月目
新人指導チェックリストの振り返り、職場の雰囲気、指導のペース、指導内容

新人指導を受けてもらった中で気になる点やペース配分、指導内容が新人さんにとってどうかを確認しましょう。

新人指導3ヶ月目
新人指導チェックリストの振り返り、職員の指導内容、気になる利用者さんの確認

1ヶ月目で行った振り返りに沿って指導がなされているかを確認しましょう。

また、指導職員やその他の職員の声のかけられ方(新人さんとの関係性)を確認しましょう。

最後に気になる利用者さん(今後より深く知っていきたいと感じている利用者さん)を挙げてもらいましょう。

新人指導で学んだ内容をその利用者さんに落とし込んでいくことが必要です。

「逆指導」の日をもうけてみよう!

そろそろ新人指導期間も終了。

と、最後に新人がリーダーに対して指導をしてみる、という「逆指導」の日をもうけてみましょう。

まぁ新人さんからすればめっちゃやりづらいでしょうけど。笑

ここでリーダーは、

・各業務の理解度はどうか?

・各ケアを行う理由を把握しているか?

・それを自分の言葉で説明ができるか?

というインプットとアウトプットの具合を見ることができます。

その職員の習熟度に応じて、「逆指導」やってみてもおもしろいですよっ。

まとめ

この記事のおさらい

・介護現場指導における「OJT」の重要性がわかる!

・「OJT」を行う上での流れやポイントがわかる!

・新人指導期間終了前に行いたいことがわかる!

おさらい新人指導って本当に大変…。

入職に退職、新人職員の入れ替わりが激しい介護業界。

年々低下傾向ではありますが、やはり他業界と比べると依然離職率は高く、そのうち65%が3年以内に退職をしている現状があります。

参考:厚生労働省 『介護労働の現状

もちろん様々な理由で退職されるかとは思いますが、

新人さん
新人さん

新人指導がダメだったからもうやめますっ

という「指導者側の理由」で退職を助長させちゃうのは避けたいですよね。

この記事を通して、新人指導方法を再確認し、リーダーの皆様が少しでもラクできますようにっ

ではではっ

またねーっ!